観測と数値シミュレーション

 

自然科学、地球科学の研究の中で自分が扱っているのは

水文学、と少しの気象学、地形・地質学ですが

僕のいる筑波大学は観測をベースとした研究が多いことが特徴です。

 

僕は山のなかで自然の事象を観測して、自然現象を少しずつ

解き明かしていくプロセスが好きなので、観測を主体として

研究をしていきたいと思っていますが、

一方で、将来予測をするため(人の役に立つため)、また

観測で明かしきれないことは数値シミュレーションで

いくつかの仮定のもとに計算で解き明かしていくことになります。

また、どんなにシミュレーションが上手く行っても

実際の事象と、どれくらい合っているのかを検証する必要があるので

観測データは必ず必要な情報となります。

 

しかし、観測というのは時間がかかるもので

1年目は ちゃんとしたデータが得られない場合も多く、

2年目でやっとデータが出てきて、修正点もみつかり、

3年目でやっと実になるデータが得られる、といった筋道を辿ることが多いです。

その間の試行錯誤が面白いわけですが、時間はかかる。

一方で数値シミュレーションは試行錯誤の結果を、次の季節を待たなくても

パソコン内で計算ではじき出せるわけなので、

観測屋としては、シミュレーション屋はいいな、きっと論文もいっぱい書けるな、

なんて思ったりするのです。

 

しかし先日、気象のエライ先生と話していたら、

先生の見解では逆で、むしろ観測の方が良いんだ というようなことを

おっしゃっていました。なかなか奥が深いものです。

どちらもできると良いには変わらないのですが、

観測屋として どうやって生きていくのか、

考えさせられます。。