経験を追い越す

以前学会でお会いして以来、気さくに話しかけてくださる

新潟大の先生が仕事で筑波にいらしていて

少しお話し (悩み相談) してくれました。 

 

地下水の研究は、新しいことをやっていても

経験的に分かっていることをなぞっているようなときがあります。

例えば、民家の井戸を周りながら地下水の調査をしていると

その家のおっちゃんが「ここの井戸の水はあの山に降った雨が3年かけてたどり着くんだよ」

と教えてくれるのですが、それはまさに僕らが安定同位体等を使って明らかにしたいことです。

しかし、おっちゃんは調査などしなくても経験的に分かっているのです。

科学が経験に追いついていない、と思うのです。

現地の人が知らないことを示せるようになりたい、と思います。

 

しかし、それは なかなか難しいことでもあり

「同じことを言うのでも、現地の人が経験に基づいて説明するのと

僕らが観測結果に基づいて説明するのとでは意味合いが違ってくる。」

というようなことを先生は言ってくれました。

それでも僕はやはり、おっちゃんが知らない何かを示せるようになりたい、と思うのですが。

研究者としてデータをもとにして話すことについて

考えさせられました。